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ちかなりちか5 くもりのち


「去ね、貴様はいらぬ」
「もっ元就様!」

能面から吐かれる言葉は氷の如く毒の如く。
ひとりの家臣が消えた軍議にて空気はゆるむところを知らない。

「…今日の元就様、機嫌が悪いなあ」
「…やっぱり曇りのせいか」
「しっ!滅多なこと言うんじゃねえ」

末端までも神経がぴりぴりしているところに飛び込んだ者が一人。

「よーう元就!相変わらずシケた面してんなあ!」
「…貴様、何用だ」
「沖でいいのが釣れたんでお裾分けってやつだ、ほれ!好きだろ」

長曾我部元親である。

「菜々がなー食いきれないならご近所にわけてやれっていうしよ」
「ふん」

永久凍土のオクラの権化が、ならば捌けと言って元親はいい酒よこせと笑った。

「(…)」
「(…元親殿、ずっとここにいてくださればいいのに)」
「(…姫若子時代なら問答無用でさらって嫁に据えることもできただろうよ)」

さすがにオクラと鬼の祝言はちょっと怖い。
だがしかし。
これからも四国と仲良くできたらいいのになあと太陽いらずの元親に密かに毛利家家臣団は祈った。



今日の広島は雨になりそうなどんよりした曇り空。オクラの機嫌が悪くなりそう。
最終更新:2006年08月18日 00:30