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ちかなりちか2 


元親が浜で拾った子供を肩車してやっていたら、「鬼が子供をさらいに来た」と元就に言われた。

「明日の知れない孤児になるのと海賊になるの、どっちがましだ」
「そうして鬼が増える、か」

能面めいた元就が笑ったようだが気色は薄い。腹から力を入れる、という言葉にこれほど縁遠い男もいない。

「子供は嫌いか」

沈黙。

「苦手か」

元親はそう読んだ。子供の扱いが下手そうに見えた。

「小さきものは脆い」

恐れでもしているように。

「ああ脆ぇな。弱っちくて、すぐ壊れちまう」

しかし、子供はしなやかだ。逆境にもっとも柔軟に接する。たとえその先が鬼と呼ばれるものであろうと。

「生きて生きて生きぬいて笑う奴が勝者だ」

もみじの手が元親の白髪をいじる。爺みたい、という声を頭上で聞く。

「あんたもそうじゃなかったかい」
「そういう話は聞きたくない」

だがつっぱねる声の主の眼差しは子供に注がれ、いつもは刃のそれがそこだけ円みを帯びていた。
ああそういえばこの冷徹男にまだ子はないが、実兄の忘れ形見がいたっけなと記憶を拾う。

「…日輪は好きか」

元就が肩上の子に問う。子供は光るから好きだと歯の欠けた口で答えた。

「ならば長じるだろう」

鬼となっても日輪を拝め。
元就はそれだけしか言わず二人に背を向けた。

「…素直じゃねえなあ」


西の海の鬼はそうぼやき、みなしごを小鬼にすべく船に連れ帰った。






荘八毛利を読んでいるとバサラと差異があって面白い。本当は子供好きかもしれない。