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みつのぶ1


主人の部屋は清める必要を感じないくらい清潔なのにどこか暗い。
加えられたばかりの小姓の少年は我らが主にまつわる雑事は仲間うちで特に慎重にことをすませるようにと言い含められていた。
存在していたことも悟られないくらいに慎重に、少年は掃除を進める。
几帳面な一面もある主は文箱やら文献やらは整然と並んでいる。
文机の上にあった開きっぱなしの本が不自然なことに少年は気づかなかった。
つい、何だろうとのぞきこんでしまった。

『○月○日 ×の刻 私がいれた茶が温いと椀を投げられた。火傷少々。顔面に打撲一カ所。苦痛。』

『△月□日 ○の刻 臣下一同に南蛮の酒がふるまわれた。私の杯にだけ軽い毒が入っていた。全身に痺れ、食欲減退。傷にならない。』



『今月の公のお振る舞い。擦過傷五、打撲二〇、創傷七。痛みが足らない。公の苦痛を猶欲する…』



「おっと手が」
「!?」

背後を悟る暇もなく、少年はぐっさり鎌に貫かれミイラになった。

「のぞき見とは…躾がなっていませんねえ…」

明智光秀つきの小姓の回転率の早さの謎がそこにあった。