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こたうじ2 


「わっかんねえなあ、あんたほどの忍がさ」

花散る風情も美しい小田原城の屋根瓦の上、いつものようにぼーっとしていた風魔小太郎に声がかけられた。大鴉をつれた武田の忍、猿飛佐助であった。

「…」

ちゃきん

「いや、今日はちょっと通りがかりだから勘弁してよ、ね?北条のじいさんも俺らとやれって言ってないっしょ」

軽く威嚇された佐助はへらと笑って敵意を散らす。
特に今武田ともめる理由もない、と考えたか小太郎は手裏剣を仕舞い、また遠くを眺め始めた。

「やれやれ…まあ実際のとこ、あんた勧誘してうちに迎えれば~って話もあったけどさ、腕のよすぎる忍は二人もいらないよな」
「…」

こっくり

「ま、あの神経質なじいさん…失礼、氏政殿にはよろしくな。同盟組んでる仲だしね」

そんじゃ、と言いたいことを言った佐助はさっと鴉につかまり風に紛れた。

「…」

覆面の向こう小太郎は何を思うのか。



「む?小太郎、ここに来るとは珍しいの」

氏政が私室にて「子孫が語る栄光の北条家物語」を執筆していたところに小太郎が音もなく訪ねてきた。

「ちょうどよいわ、小太郎、ちと肩を揉むのじゃ。ご先祖様がいかに素晴らしい生き方をなさったか文言を考えておったら凝ってきたわい」

こっくり
氏政の背後にまわった小太郎の手が老人の肩を包む。老いてもかくしゃくとしている氏政だがやはり忍の手には小さく感じられた。

「おぉ~そこじゃそこじゃ、小姓どもは力がなくてヘタクソでのう、あ、もうちょっと右…」

こっくり
氏政の指示に従いながら小太郎は肩の凝りをやわらげていった。

「うむ、楽になったぞい。また今度は腰を頼むぞい、小太郎、よいな」

こくこくこく
若干小太郎のうなずきが素早かったのを見つつも、氏政は契約した報酬にもうちょっと色をつけねばのうと考えていた。
天下の忍、風魔小太郎に肩揉みをさせていようとはさすがに佐助も思い至らないことだろう。それも本人が進んでやりたがっていることなどは、特に。