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ジェノギガ4 一万ヒットリクエストありがとうSS


リクエスト栗那さま:ギガデリックが出る話
※栗那さまのみ、ご自由にお持ち帰りください。


『空気』

澱みは揺るがすものがなければ平穏と偽ることができる。そのぬるま湯の如き闇の底で、ギガデリックは微睡む。少年の面は眠り顔であってもあどけなさというものが全く見当たらない。冷たい彫像のように見えた。

『可愛くない寝顔だねェ』

キャップの影になった顔を包んだ手。それは重力を無視して、天井から垂れ落ちてきた闇のように逆さになった男から伸びていた。
澱みを無遠慮に掻き回す手の主の名はジェノサイドという。

「…てめぇか」
『ご機嫌いかが』
「いつもどおり最悪だ」

薄い瞼があがり、三白眼がジェノサイドを映した。

『上のエグゼ君が頑張ってるみたいだね』
「ああ、あいつが制限コードを埋めるおかげで眠たくもねぇのに動きが鈍る。毎日毎日飽きないこった」
『まァ、そのためのエグゼ君だからねェ』

かき乱す手がジェノサイドならば、澱みを澱みのままに封じようとするのが『上』にいるエグゼだろう。隠された最下層に鎮座するギガデリックを封印するためだけに生きる少年はギガデリックよりも幼い風貌をしているというのに、恐るべき力を持って破壊のためだけに存在するギガデリックを制している。

「…そういえばおまえ、双子の兄弟でもいるのか」
『この体が、まともにヒトの体から産まれてきたように見える?』
「見えねぇな」

今はマシンゴーストに似た質量を持たない姿をしたジェノサイドだが気分次第で人間そのものになることもある。彼は自らを『狭間の人間』と嘯いていた。ヒトでありヒトあらざるものは巷に溢れているとギガデリックは思うが、ジェノサイドはその内でもぬきんでているだろう。

「だがこの間こいつで見たぞ」

傍らに侍る目玉の群を叩く。気が付いた時には側にあった配下のひとつだ。

「同じ位相で同一人物が存在するか」
『世の中には、同じ顔が三人いるっていうよ』

霜のような銀髪の向こう、ジェノサイドの表情は読めない。顔の半分を覆う遮光スコープがそれを許していないのだ。

「ぞっとしねぇな、同じ顔が三つもあるのかよ」

くく、と逆さのジェノサイドに向かってギガデリックは低く嗤った。

「俺だったら潰すぞ」

目玉のひとつがテレビモニターのように砂嵐を映した。乱れた灰色の嵐の中、白銀の髪の青年を映した。
黒と赤に彩られた衣服を纏い、その顔と髪だけが浮き上がるように白い。
ジェノサイドはスコープの外に現れるような表情は微塵も見せなかった。

『ああ、彼ね』

幾分懐かしげな色だけがジェノサイドの声音にのせられた。

『元は同じもの、今は他人に等しい』

ひとつは闇の底の迷宮にあり。
ひとつはいずこともしれぬ地上にあり。

「ふん」

ギガデリックの細い手が目玉の画面に触れる。どこかを見つめた青年は静穏さを漂わせ、目の前のジェノサイドとは趣の違う空気を持っていた。

「おまえ、思ったよりヒトの悪そうな顔をしてるんだな」

コイツはだいぶ違うみたいだが。

『それって誉め言葉?』
「誰がそんなことを言った。調子に乗るな」

ギガデリックは頬からさらに首筋にのびようとする手を払った。
澱む闇にたゆたう『狭間の人間』の空気。
それは唯一つであり例外はない。

「俺は寝る。邪魔すんな」
『据え膳を食べちゃいけないんだ。狡いなァ』
「言ってろ」

ぼやくジェノサイドの声を無視して、ギガデリックはまた瞼を降ろした。



栗那様遅くなってしまいました;リクエストで「エグギガでもジェノギガでもいい」と仰ってくださったので、ちょっぴりエグゼの話もしつつジェノギガです。栗那さまリクエストありがとうございました~!

一時期は同一人物説派だったんですが、今後はジェノサイドとキラーは根っこは同じでも他人というスタンスで行こうかと思います。時間経過としてはゼファー→ジェノサイド→醜響といった感じ。キラーからジェノサイドはできた(発生した)というmy設定で突っ走ります。