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茶茶1 


クレーンゲームに張り付く男女。珍しくない光景だがそれが一回り小さな二人組だと何やらほほえましさがこみ上げる。

「ほら」
「うん、ありがとう」
「わかんねえなぁ、そういうのが可愛いって言うの」
「私が欲しかったんだから、そういうことは言わないのっ」

赤い、子供の腕程度の人形はお世辞にも可愛いとは言えない。流行はえてして奇妙な価値観を与える。小さな恋人達の他愛ない言い合いも端から見れば睦まじい限りだ。
そんな二人を眺める茶倉は軽く息をついた。

…けして、羨ましいなんて思ってないけど。縁のない光景だ、と感じた。


茶倉はナイアのように異性とあけすけに接するのが苦手だ。何を話したらいいか惑い、ついぶっきらぼうな受け答えをしてしまうから、ナイアとは別のタイプの姐御だと思われている。
ただ『頼りにできるお姉さん』と『近寄り難いお姉さん』では随分違いはあるのだが。
隠れ蓑の中の茶倉は、どこにでもいる、ややナイーブさを持っていた。

「なんだ、茶倉もあれ欲しいのか?」
「…えっ?べ、別に」

横からかけられた声に内心ぎょっとする。
すぐ近くには緑色が眩しいデュエルがいた。
そんなに凝視していたのだろうか。すでにさっきの二人はおらず、ぎっしり人形がつまった台だけが異様なBGMとともに佇んでいた。

「あー、識もだいぶ甘めにしてるなあ」

いかにも取りやすそうに山をつくるその台に近づくと、デュエルはおもむろにコインを押し込んだ。

「デュエル、」

あっと言う間にデュエルが操るアームは人形の山を崩し、コロリと取り出し口に追い落としてしまった。

「ほら」

鮮やかなくらいに、ぽんと手に人形を乗せられてしまった。

「俺もまあ達磨と一緒でさ、そういう可愛さとかよくわかんねえけど」

鼻の頭を掻いたデュエルが小さく笑った。

「茶倉がそういうのを気にするのは、悪くないな」

横を向いたデュエルはそのまま足早にゲーム台の奥に歩いていってしまった。
あと茶倉に残ったのは全然可愛いとは思えない真っ赤な人形ひとつきり。






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