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ケイクジャ8 【病める猫はうたう】


「調子いいじゃん」
「そーでもない」

 一戦終えてぷかぷか喫煙コーナーに踏みこむと、戦果を見ていたらしいニクスが特に面白そうでもない顔でケイナを迎えた。

「つまんねー顔」
「ご挨拶やなぁ。ニクスはご機嫌ななめ?」

類は友を呼ぶ。並んでいても、特にこれといった接点もないように見えるニクスとケイナだが、己の深淵で流れる何かの源流が近しいと本能的に悟っている。本人達だけの認識だが。

「前よりつまんねー顔」
「はは。俺は毎日この顔よ?」

同類だからといって傷を見せ合うような仲ではない。類友というより同族嫌悪。似たところを見つめすぎて他がわからなくなる。
だからケイナとニクスは仲が悪いと思われない程度に、そしてお互いが反発しない距離を保っている。それが自分たちにとって最良の選択だとわかっている。

「べったりくっついて、俺ら幸せですって顔してら」
「実際そうだし」
「はっ、言ってろ」
「そちらさんは?儲かってまっか」

そら言めいたわざとらしい問いかけ。

「どうでもいいだろ」

そこはぼちぼちでんなーと返せや。

「……長続き、すればいいな」
「続くわ。続かせる。俺が」
「そりゃ見物だな」

同類項でそして共犯者、あるいは理解者にして永遠の平行線。どこまで行っても交わらないねじれの位置。

「ほな」
「ああ」

軽く手をあげて喫煙スペースから離れた。ニクスはうまくもなくまずくもなさそうな顔で吸い殻を押し込む。
ケイナ、と愛しい声が呼んでいる。