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ユズナイ1 【夜が無防備すぎるから】 「手」 「…なによ」 「つながへんの」 「歩道だもの」 「誰もいてへんよ」 「嫌」 「なんで?」 「馬鹿」 「うわ、傷つく」  そうしていても無理に手をつながれるから。  無防備すぎる闇のどこに目があるかわからないのに。  だから嫌だと言ってみる。  叶ったことは一度もないけど。
ユズナイ2 夜光杯 「珍しいな、ナイアが飲んでんの」 「飲みたい時だってあるの」 いきつけの半地下バーでフルートグラスを傾けるナイアを見つけたのは、しっとり飲むにはいい頃だった。 二次会になだれ込むほどの体力はないのに、静かに飲みたくなって時たま足を運ぶそこにナイアを見たのは初めてだった。 「ちえ、わいのお気に入りやったのに」 「私が来ちゃ行けないの?」 「別に。また隠れ家捜すわ」 「隠れ家ねぇ…」 毎晩飲み歩く連中から逃れて、孤独というひとときの苦みを味わうにはここはうってつけの場所だ。カウンターとボックス席が数えるほどしかなく、BGMも落ち着いている。 こんなところでゲーセンのぎらついた話題など野暮だ。ただ、旨い酒を味わって酔いにそっと体を任せるのがいい。 「別に開拓しなくたっていいわ」 「ナイア?」 「誰かと来るってこと、ないもの」 男どもの舵取りをするのがユーズならば、女性陣をまとめているのはナイアだが、ナイア自身は団体で騒ぐということはあまりしない。もっともユーズの性格上、どうしてもどんちゃん騒ぎになるのは当然のことなのかもしれない。 「秘密にしておいてあげる」 「そら、ありがたいな」 アイツらに知られてないの、ここくらいやもん。 ロックを頼んだユーズは一気に呷ることはせず、ちらりと舐める。香気を味わってから舌で踊らせて、やっと喉の奥へ。そういう飲み方もできるのがユーズだった。もう少しガサツに飲めばいいのに。ナイアはそう思った。 「じゃあ口止め料な」 「甘いのは嫌い」 「…テキーラでも飲んどり」 「酔っ払ったら連れて帰ってよ」 「それも口止め料に入るんか」 「私が酔いつぶれたら、の話」 つかず、離れず。 沈黙が染みる。けれど居心地はいい。 素直になれないのなら、少しだけ距離を縮めてみたらいい。どこかの恋愛相談で呑気な大先生が言っていた言葉。あながち的はずれじゃないものねとナイアは心の底で呟いた。 「乾杯する?」 「何に」 「秘密の成立に」 同じものを頼んだナイアの手にそれが渡り、勝手にユーズのグラスの縁に軽く当てられた。

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