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葉取7」(2006/07/26 (水) 05:16:12) の最新版変更点

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葉取6 ヒロシマリアン3 ※前回はアロマにつきまとってキャンキャン言ってた(ようにみえる)葉佩ですが、葉取バージョンではいかがなものか!?  ここでは鎌治→「心の支え」→葉佩。葉佩→「ぶち支えちゃる!(愛)」→鎌治でお願いします。  珍しく取手鎌治の部屋のドアがノックされた。 「…はい?」  特に誰何もせず、鎌治は扉をあけた。時計はもう午前をまわっている。こんな時間にやってくるといえば… 「…はっちゃん? 今日の探索はもう終わったんじゃ…」 「鎌治…」  ついさっきまで一緒に地下に潜ったはずの葉佩はどんよりとした顔で鎌治を見据えた。ついさっき部屋の前で「じゃ、また明日!」と手を振って別れたはずだが…いつものアサルトベルトと暗視ゴーグルを頭に乗せたままの葉佩は突然ガバッと鎌治に抱きついた。 「今日一晩泊めてェやー!」 「なっ、は、はっちゃ…!?」  ここ天香學園の学生寮では寮生のプライバシーを守るため、一人一人の部屋には鍵がついている。特に頑丈な鍵というわけではないが、思春期の高校生にはそうした防衛機構があるということが重要で、ただ一つの問題を除いては歓迎されている。  それは。 「鍵、のうなってもうた…」  とりあえず部屋に通された葉佩はまだ少し暗い。ベッドを背に座りこんでしょげていると、いつも元気な分、鎌治には少しだけ心配だ。 「その、心当たりとかはないのかい? 落とした場所とか…」 「十中八九、墓地」 「そ、それはまた…」 「じゃって、学校で落としとったらまず放課後に部屋に入れんし。墓地行く前にちゃんと鍵もかけたし…」  それは確かにそうだ。それに、それならそれで対策というものが設けられているのだ。  生徒が鍵をどうもっていようが個人の自由であるが、なにかの拍子に紛失してしまう、ということは全くないわけではないのだ。首から下げているとかそういうものでもなければ、人間、うっかりということは充分ありうる。  鍵をなくした場合は、寮監に申し出るのが普通だ。拾われていたら届けられている可能性があるし、その鍵が寮の鍵であるということは一律にデザインされた形で學園関係者ならば一目瞭然。届けられていない場合は、多少寮監からお小言を食らってから、合い鍵を出してもらえるのだ。 「こんな夜中に寮監さんはいないしなぁ…」 「のー。それに夜中まで何しとったんかって話にもなるじゃろ。それは不味い。転校生じゃけんてこれ以上目立つのも…」 「そうだね…いい話じゃないな…」  消灯もとっくに過ぎたこんな真夜中。生徒は校則に従って就寝しているはずだ。 「今日はクエストで辛さだの麺だので、ごたついとったし…ようけポケット開け閉めしとったから、そこでぽろっと…」 「落ちたのかもしれない、…んだね」 「それ以外思いつかん」  ベストを脱いだ葉佩はばたばた逆さに振ってみるが小さな金属が落ちてくるような気配はない。 「色々みてとったし、明日に備えてネット通販したかったんじゃけど…ああー予定が全部わやじゃ」  宿題とかあるんじゃ…と問いかけてみたかった鎌治だが何となく追い打ちをかけてしまいそうだ。 「じゃけん、今日一晩泊めてほしいんじゃ。寮監には明日の時点でなくなったっちゅうことにして」 「それは構わないけど…」 「あ、鎌治もしかして、俺がうっとおし? いごいごする? じゃったら廃屋街で野宿してもええんじゃけど…」 「も、もう11月だよ!? それくらいなら僕の部屋をいくらでも提供するよ…」 「ありがとな…鎌治」  ようやく浮上した葉佩はきょろきょろと鎌治の部屋を見回し始める。トレジャーハンターの血が騒ぐのだろうか。呆れる前にほっと安堵する鎌治がいる。やはり、元気なほうがはっちゃんらしい、と思うから。 「あんまり珍しくないよ。どこの部屋も同じ間取りなんだから」 「そう? やっぱり個性ってあるもんじゃて。スッキリ片づいとるし、あの本棚とか。上のほうに俺の手たわんよ」 「ああ。楽譜とかCDを集めてるとやっぱりラックがあるほうがいいかなと思って…」  天井にまで届きそうなラックだが圧迫感はあまり感じられない。むしろ並べられた音楽雑誌やバスケ関係の雑誌も日付順に並んでいて、我ながら律儀だなぁと思う程度だ。 「俺の部屋なんか酷いで。前に住んでたヤツがしたんかしらんけど、なんか床がいがんどるもん。抜けるかもしれんからそこは踏まんようにしとる」  それに、と葉佩はベッドをぽんぽん叩く。 「鎌治の部屋ののほうが、布団がやおくて気持ちよさそう」 「そんな、どれも変わらないって…はっちゃんっ」 「ん~鎌治の匂いがする~」  ぼふんとベッドに乗り上がった葉佩はシーツに顔を埋めてみたりする。 「…じゃけどちょっと俺的には嬉しかったりして」 「はっちゃん…?」  シーツから顔をあげた葉佩はいたずらっ子めいた…けれどどこか大人の感情を潜ませて笑っていた。 「鎌治の部屋に入らせてもろて。一晩過ごすんじゃで。二人っきり」 「な…!?」  一気に鎌治は音がするくらい自分の顔が真っ赤になるのを感じた。感情の突出はしていないつもりでも、自分はわかりやすいタイプだろう…すぐに顔に出てしまうのだから。 「あ、あ…その、はっちゃん…」 「鎌治、真っ赤じゃの」  ベッドから手を伸ばしてきた葉佩は普段感じさせない肌が宿したぬくもりを感じようと頬に触れてくる。うつむいてみたが、やんわりと葉佩はそれを許してくれない。  色々な武器を操るせいか、葉佩の掌は硬くて、それだけに内包した血脈をみせつけているかのようだ。自分のようなやわな皮の下にあるのではなく、強くて、挫けない心の有り様がむしろ今、この流れる音を聞けといわんばかりに。 「一緒のベッドで寝てもええんかの?」 「は…はっちゃんは…床!」 「ちぇ…ケチ」 「よ、予備の毛布と、夏の布団を出すから…」  いそいそと立った鎌治は葉佩から必死に顔をそらす。 苦し紛れをそうと知っていて冗談でくるんでしまった葉佩には、敵わないと鎌治は思いしる。匂わせた感情を笑顔で隠して、鎌治を優先してくれたそれは、紛れもなく同じ人間・葉佩の優しさだとわかっていても。  まだ、揺らいでいるばかりのこの心では、その感情や息苦しさに名前をつけられないと…逃げ道を作っている。  夜は、まだ長い。
葉取7 さゆり姉さん 「鎌治は箸の使い方うまいなぁ」 「姉さんが厳しかったからね。自分が気付かないところで人は見ているってね」 「うーん…難しい…」 「あ、はっちゃん握り箸!」  ズビシッ! 「い゛ぃっ!」 「あ、あ、ごめんつい…」 「し…躾に厳しい家だったんだな鎌治の家…(なんか手が痺れてるんですけど!?)」 「うん、二言目には鞭が飛んできたからね」 「むっっっ!?」 「君の鞭捌きを見ていると姉さんを思い出すよ…」 (いやぁあ鎌治が遠い目してるなんか怖いよぉぉ!!)

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