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オリジナル 悪魔2 【断絶空間】 「おまえの禍々しい気は吐き気がする」 嫌悪に顔を歪ませた天使はすらりと剣を抜いた。天使といっても彼らは神の心を叶えるために戦を選ぶ。 「おまえの思念は毒だ。弱く儚い人間には悲劇しか招くまい」 血涙の悪魔。爵位どころか名前を誰も知らないほどの、矮小な存在が最近、力をつけているという伝えを聞いた時、討伐の対象ができたと天使は思っていた。 だが対峙してわかる。 この悪魔は毒なのだと。凶事を招く翼を持ち、血涙を頬に刻む悪魔は、長ずればやがて天上に牙剥く勢力の一端を担うだろう。 「戦天使、教えてくれるか」 長く伸びた猛禽の爪が毒々しい赫。まるで涙を吸ったように悪魔の衣も髪も穢れた色をしている。 「天使の血は、甘いのか。それとも苦いのか」 「神の赦しを請え」 血涙の一滴が空を切った。 切り刻まれ消滅しようとした天使の肉に穢れた力を注ぎ、無理矢理に形を残した悪魔は、天使の絶叫を聞きながら黙々と食事を続けた。 血涙の悪魔は世界で最初の天使喰らいとなったが、後に漏らした。 土をはむようだった。これならば、最初に喰らった神父のほうがよほど良いと。  
オリジナル 郷愁1 【シャレオの中心で愛を囁く】 「ミシモさん好きです」  でこでこに飾りたてた石の広場では、でかいテレビが置いてあって、夏を先取りした番組を垂れ流している。 「ミシモさんミシモさん」 「じゃかしい」  正直ここは独り者にはましては女っ気のない野郎にはそっけない。  こじゃれて小分けにした区画はミシモにしてみたら惣菜市場のポテトサラダとマカロニサラダが並んでるようだと思う。味は多少違うが見た目は似たようなものだ。  けれどもミシモはここにいなくちゃいけない。  なにしろしがない警備員なもので違和感いっぱいの青い制服で万引きやらアストラムの無賃乗車を警戒しなくちゃならん。  だが万引きより無賃乗車よりたちのわるいものがここにはたまりやすい。 「地下じゃけんかの…」 「え?え?え?ミシモさんなに?」  むっすり立つミシモの目の前を挙動不振にふらふら動くのはそこらにいそうな風体の青年だが、洗い晒したデニムジーンズが膝のあたりからすぱっとない。足もない。 「地場のせいもあるが上から下に流れてもでるとこがのうて溜まるんじゃなあ」 「ミシモさぁん!俺を無視しないでくださいよう!」  こいつは幽霊と言う奴だ。それも一方的にミシモについて回る。 「見えてるくせに無視なんてひどいです」  見るものが見たら華やかな地下モールは大小様々な連中が浮かんだり沈んだり流されたり溜まったりしている。 「あー頭いてぇ…」 「大丈夫ですかミシモさん!頭の痛みはサインですよ病院いってください!」 「余計おまえみたいなのがおる場所にいくわけないじゃろが」  所詮ミシモみたいな人間はマイノリティ。  地縛霊がとりつきそうだから場所を変えてくれとは言えないのだった。 「ミシモさんー」  べったり憑いた男は今日も元気に愛をアプローチする。 広島の懐かしさに惹かれて書いてみる。 ミシモタガヤ:三十路まで後一ヶ月の独身警備員さん

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