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葉皆6」(2006/07/26 (水) 04:12:13) の最新版変更点

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葉取5 ヒロシマリアン2 「のーのー」 「…」  そっぽを向いた皆守はしつこくついて回る葉佩を無視してどんどんと屋上へと足を運ぶ。 「甲ちゃーん、甲たろー!のー、これ以上休んだらいけんてヒナ先生言っとったでー…おーい」  ねばり強さは悪く言えばしつこいの別の名前だ。よくよく回る口を持って生まれた葉佩はぴったりくっついてそのまま皆守の気に入りの場所である、屋上にひとつでぱった浄水タンクの上までやってきた。 「はぶてとるん?」 「…」 「あ、キャラメル食う? やっちーがくれたんじゃ…ってやお!?ぶちやおくなっとる!」  ポケットにいれて動き回っていたのだから、当然キャラメルなど熱で溶けてぐにゃぐにゃになってしまっている。葉佩はそれを捨てようかどうしようか迷っていたようだが、元あった場所に…つまりポケットに戻した。  …捨てるか食うかどっちかにしろよ。  それらすべてを無言で返していた皆守だったがさすがに胸のうちでそう言わずにはいられなかった。 「甲ちゃん」  アロマパイプから流れこんでくる香気を吸い込む。そうすることで呼び掛けは何度でも無視できた。 「…あんなぁ…甲ちゃんが…喋ってくれんと、俺いごいごするんじゃ…こう、俺じっとするん、苦手じゃけん」 「……」  いごいご? 目線だけで盗み見ると、葉佩は居心地悪そうにタンクのそばで足をぶらつかせている。 「クエストようけあるけ、今日つきあってくれん?…甲ちゃんがおらんと俺、すぐわやになるけ…」  皆守の視線が自分に向いたというだけで、葉佩はまたいつものように喋りだす。 「いがんだガラスじゃろ? それから、やっちーでジャンプ手伝うてもらって、たわんかったツボ割りに行って…」  本当にこいつは将来有望、とされているトレジャーハンターなのだろうか。指折り色々と今日の探索をたてている姿では、背中を預けるどころか非常に不安になるほどだ。 「あ~弾もみてたんじゃった…貧乏…」 「葉佩」 「ん!? なん、甲ちゃん!」  パッと顔をあげた葉佩に皆守は言った。 「…とりあえず日本語喋れ」 「……、ひっっでー! そら広島県民に対する挑戦か!? 全国道府県に宣戦布告なんか!? トーキョー弁以外日本語じゃないっていう気か甲ちゃん!」  それから何だか荒々しい言葉使いになっていく葉佩をぼんやり見ながら、皆守はやっぱりこいつは俺がついてやらないとダメみたいだ、と認識した。 はぶてる=すねる、むくれる。
葉皆6 【生憎の雨だよ、】 雨が降ると行動範囲が一挙に狭くなる。 校内から出ることのできない憂鬱がそこここに溜まり、吹きだまりのように連鎖して人の気持ちを萎えさせていく。 そんなさまを見たくないから、誰よりも高いところへ身を移し、仮初めの自由を味わいに屋上へと足を運ぶのに。 そういう時に限って、だ。 「甲ちゃん、今日はマミーズいかねぇの?」 「…ああ」 気怠く体を机に懐かせ、頷くと甲ちゃんまで五月病?と尋ねられる。五月はとうの昔に過ぎただろう。日本語を知らないやつめ。 「……屋上行けないから拗ねてるんだ」 「誰が拗ねてるんだ、誰が!」 「そういうふうに見えたんだからしょうがないっしょ。あ、でも明日は晴れるんだって。よかったね」 「…人の話を聞け」 「聞いてないのは甲ちゃんでしょ。決めつけはよくありません」 売店行ってくるよ、と教室を出て行った背中を蹴りつけたくなる。…やめる。 くそ、全部雨が悪い。

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