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葉取1」(2006/07/26 (水) 03:17:08) の最新版変更点

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葉皆 4/12 別に祝われたいと思うわけでもないのに、自分の生まれた日は勝手にやってくる。 幼稚園や小学生のガキじゃあるまいし、盛大なお誕生会なんてまっぴら御免だ。やりたい奴だけやっておけばいい。 そう思って今日は一日自主休校。落ち着いていれば、今日なんて言う日はさして特別でもなく来たときと同じように勝手に過ぎ、終わっていく。 俺にはそれがちょうどいい。 「…そういえば今日はあいつからメールこねぇな…」 いつもは一日に一回はメールが来て、『今夜は一緒に遺跡に行くぞ!』などと、誘いというよりは強引な呼び出しがかかるもんだが…今日に限って俺の携帯は机の上で沈黙している。 まぁ、他の誰かと一緒なんだろう。地下に潜れば電波なんて問答無用に届かないわけだし、あいつが俺に何かメールを送ったとしても届くわけもない… 「…だりぃ」 つらつらそこまで考えて俺はやめた。焚きしめた匂いに包まれるとぼんやりと何もかもどうでもよくなってくる。精神が安らぐというよりは、思考の動きを鈍らせるといったほうが正しいかもしれない。 そのまま眠りについて、気がつけば太陽が昇っている。 そうした日常に埋もれようとしていたその時に、コンコンと扉が叩かれた。 「…だりぃな、誰だ」 時間は午後11時58分。こちりとデジタル表示が切りかわって59分。 …こんな時間にやってくるのは奴しかいない。 そのまま無視しようかとも思ったが、俺の睡眠欲の寝付きの良さが反比例していることをよくわかっているらしいノックの主は、コンコンと音をやめない。 「ちっ」 チェストに乗せていたアロマをくわえ、俺は乱暴に扉を開けた。低く、寝起きを起こされたように(実際俺は寝入るところだったんだから機嫌が悪くて当然だろ?) 「…だれ」 「こーたろー!! ハッピーバースデーー!」 いつものベストと暗視ゴーグル姿ではなく、部屋着にしているらしいジャージ姿が葉佩がなぜか鍋を持って部屋の前で俺に満面の笑顔を見せた。 …しかもその鍋どっかで見覚えあるような… 「……なにしてんだ、おまえ」 「なにって今日甲太郎の誕生日だろ? 普通に祝ったんじゃありきたりだからサプライズ! 驚いた?」 葉佩はぐっと「まだ4月12日だろホラ!」と後10秒くらいで日付の変わる腕時計を見せつけた。 「…っ、おせぇんだよっもう日付変わるだろが!」 「まーまーそう言うなって、ほらコレ!」 今日甲太郎ガッコ来なかったから明日はいっぱいプレゼント攻撃されちゃうぞ、と葉佩は笑い、今度はその鍋を押しつけた。 「なんか珍しいスパイス取ってこいって依頼があったんだけどさ、カレーに入れてみた!俺からの誕生日プレゼント!」 カレーと聞いて無碍に押し返そうとした手が止まる。 カレーに罪はない。 「ちっ、…入れ。カレー喰ったら帰れ」 「ひっでー!それが親友に言うセリフ!?それにありがとうって言うのが礼儀ってもんだろー?」 鍋からは微妙に嗅いだことのない匂いがする。たぶんこいつのことだからまたレトルトカレーに得体の知れないものをブレンドしてそのスパイスやらをぶちこんだに違いない。まったくスパイスって奴は繊細なんだぞ… ごちゃごちゃ言いながらちゃっかり部屋に入ってきて勝手に茶を入れだした葉佩の背中に蹴りでも入れてやろうと思ったが、やめる。   4月12日はとっくに終わっていたが、俺の生まれた日を祝う大バカやろうはまだここにいる。
葉取1 ヒロシマリアン葉佩 葉佩が広島出身なら喋りも…そういう妄想です。 限りなく海神仕様な広島弁ですのでツッコミなしでDON! 「鎌治は背ぇが高けーけ、ええのー」 「そ、そうかな…」 「おー高いとこから見下ろすん、気分よぉないか?」  屋上から下を見下ろす感じじゃろか?と葉佩は首を捻ってみせ、背が高いのも大変なんだよ、と鎌治は返した。 「よく桟とかに当たるんだよ…けっこう僕がぼーっとしてることが多いから、今でもたまに教室に入りざまに、ほら」  前髪を少しわけてみると、鎌治の白すぎる額にうっすら赤い痕が見えた。相当強く打ったわけではないらしく、内出血には至っていない。この肌でさらにそんな痛々しいものがあったら、見とるこっちが痛いと葉佩は思う。 「あーあおじにはなっとらんけど…痛そう」 「慣れちゃったよ」 「じゃけど、羨ましいな。鎌治じゃったら、バスケのリングにたうんじゃろ?」  一瞬。鎌治の動作が止まる。耳で音を思い出すようにすると全ての動きが滞るのは鎌治の癖のようなものだった。 「鎌治? おーい、どうかしたんか?」 「…あの、はっちゃん…」 「なん?」 「ええと…たう、って何?」  それが動作をしめす言葉であろうということは推測できる。かかる対象は「バスケのリング」。つまりはバスケのリングに対して鎌治には可能な動作を示している。それは前後の語意で計ることができた鎌治だったが、肝心の言葉でひっかかる。  すると葉佩が「すまんすまん、フツーにわからんよな」と笑って謝った。 「いや、あの僕が知らないだけかもしれないし…っ」 「そりゃ知らんて! 前に甲太郎にもわからんて言われて直そうと思っとったけどつい出てくるけんなー。たう、いうのは届くっちゅう意味な」 「届く?」 「そうそう、こーやって」  葉佩が鎌治の肩に手を伸ばし、ぽんと軽く叩く。 「なんかに手が届くのんを、たう、って言う。手が届かん範囲じゃと、たわん」 「ええと、だったらさっきのは…僕だったらバスケのリングに手が届くって言う意味?」 「そ!一つ賢くなったじゃろ、広島弁講座!」 「…じゃあいつか、僕からも教えてあげるよ」 「ん、待っとるけ!」 こんな感じー…?嘘っこになったら御免。 たぶんヒロシマリアンな葉佩はカープ狂いで部屋にはポスターとかサインボールとか転がってるかもしれない(笑)

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