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こたうじ27 照らせ照らせ月  夜の黒を切り裂く鋼、きらめきを届けるは月光。 闇に潜む忍びにとっては月は厄介だ。中途半端な明るみをもたらし、影の動きを明瞭にする。 だが月に焦がれる忍びも多い。すでに日の光をあびること叶わぬ者らが慰めに、あるいは心のよすがに天にあるそのやわらな輝きを目に宿そうとする。 小太郎にとってはどちらでもない。月は月だった。 性急な若者にはよくある、未熟な感性で浮かぶ上弦を見遣る。 今己の所業が暗きにあるものならば月は沈むなり欠けるなり消えれば良い。 逆に。今己の所業が明るみにあるものならば月はそのままの輝きを投げかければ良い。 今小太郎に急を告げる用事はない。だが今の時間ならば主は政務の片づけか書き物の最中のはずだ。 それに間に合えば良い。 もしかしたら、気まぐれな主は深夜の散歩に繰り出すかもしれない。そうであったら、小太郎は呪詛の如く月に願う。 照らせ照らせ月 かの人の足を迷わせるな

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