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たけとみ3
「今日の半兵衛様、機嫌がすこぶるいいよな」
「敵将も真っ青な戦いっぷりだ」
「味方もな」
「早いところ戦を終えて陣の君の隣に戻りたい」
「…」
「今日の恩賞頭は誰だろうね、秀吉」
敵将の御首を片手にさげた半兵衛は空恐ろしいが美しい。
たけとみ4
「ただいま秀吉」
期待しているという言葉はそれを発した本人がいなくても魔力を持って半兵衛の
背中を支える。
たとえ未来を紡ぐ子供だろうと悲しい戦をし続ける農民だろうとほふることに容
赦はしなかった。
「戻ったか」
「ああ。北は寒いね、君がいかなくて正解だったよ」
仮面を落とした半兵衛がその手で秀吉の肩に添う。
「冷たいな」
「こんなものじゃなかったかな。雪にまみれて冷えたのかもね」
あそこは憎らしいほど雪が多いから。
健やかという言葉にあてはまる自分を半兵衛は久しく忘れている。
「でも秀吉が常たる僕のぬくもりを思い出させてくれるんだろう?」
だがそれより手をのばして得たいものに半兵衛は微笑みかけた。