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「ケイクジャ6」(2006/07/26 (水) 18:01:38) の最新版変更点
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ケイクジャ5 まどろみ
延々と音階を変えながらも続くピアノの調べを、聞くともなく耳に流し込んでいる。
エンドレスリピートで流されるそれを孔雀は厭うこともなく傍らで聞いている。
静かに流れるはカンタータ。
「もうずっと聞いてるね」
「変えてもええけど」
「このまんまがいい」
滅多に流れることのないクラシック。ケイナは部屋ではあまり音楽をかけない。ただ一枚だけ全集から抜き取ってきたようなCDがあるきり。
「眠そうやな」
「実はちょっと」
「このまんま寝てまうか」
「いいね」
回した腕に少しばかり冷たい手が添えられ、それと温度をわかちあうころには孔雀は眠りに落ちていた。同時にその手の主も誘われるように瞼を落とす。
見守られるように穏やかに包む、【主よ、人の望みの喜びよ】の中で。
ケイクジャ6 不可欠
今日は孔雀が夜までうちに来られない日。とりあえず昼間まで寝てみたが夕方にはほど遠い。
冷蔵庫には孔雀のメモつきご飯が鎮座しているがもったいなくて食べられない。不摂生だと怒られながら食べる食卓に慣れてしまっていつしか一人ではろくろく箸を動かす気になれない。
「あかん俺、昔はこんなんやなかったぞ…」
え、もしかして俺、心身ともに孔雀なしじゃ生きていけないカラダになってもた?
「早ぅ帰って来ひんかなあ…」
寂しいなんて口が避けても言えない。