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ゼファー5
ルルススの時計は狂っている。単位としての時間を把握することも曖昧であるし、生体としてのリズムも不規則で、三日近く起きていることもあればその倍の時間眠ることもある。起き続けるということも眠り続けるということも体の限界のシグナルがやってきから、その異状を察知していた。
「だいぶ改善させてきたんだがな…」
一日という時間を区切り、睡眠と活動を規則正しく行うようにルルススに教えてきたキラーは寝台でぐっすり眠り込む少女に肌かけをかけてやる。
「ルルは寝たんだ」
「やっと、というべきかな」
リヒトの繊手がのび、翠の髪を撫でてやる。絵面だけをみれば、薄紅の髪の青年が年の離れた妹のような少女をいとおしむようにも見える。
あどけない寝顔を無垢だ。だがそれを見守るリヒトの紅い瞳はルルススが長い眠りを取ることを待ちかまえていた。
「つねっても起きないかな?」
「やめろ。やっと眠ったところなんだ」
「誰かさんが構ってくれないから悪いんだよ。こっちもいい加減煮え切ってるところなんだけどね」
誰が構うだ。
誰が煮え切るだ。
寝台の傍らに座り、キラーは己の剣の手入れを始めた。細かな意匠が施された二振りのそれは組み木のようにあわせれば完全な一本の針となる、対の剣だ。長くはないものの、振るうことでその攻守は左右に隙のないものができあがるのだ。
「キラーって両利き?」
「そうだ」
リヒトがそばにやってくると、その豊かな髪のせいであたる体のあちこちがこそばゆい。しかもさらに距離を詰めようものなら、手元までも隠されてしまう。
「…リヒト」
「なに?」
「少し離れろ」
「やだね」
「手元が狂う。髪を切るぞ」
「別にいいけど、ルルススが驚くんじゃない?」
半ば本気で剣呑に言ったがキラーは詰まる。己が眠っているうちにキラーとリヒトが仲違いをしていたなどと知ればあの少女にどのようなショックが行くかわからない。
リヒトが泣こうが喚こうが(どちらも一度として見たことがないが)キラーにとってはどうでもいいことだが、ルルススのそれは非情に心が痛い。
「あいかわらずルルスス一番だね」
「…俺は守護者だ」
「僕も守ってくれるんじゃないの?」
守るものが襲われていたら話にならない。
リヒトの手がキラーから剣を奪う。瞬く間にそれは黒く細かな粒子となって空気に溶ける。剣を持つものは己自身が鞘であり、その主以外の者が手にすることはできない。奪ったところで消える。そしてそれらはキラーへと吸い込まれる。
「妬けるな」
生ける武器のキラーに比べれば華奢なつくりのリヒトの腕は否応なくキラーの首に絡まる。甘える猫のように体を寄せてきたリヒトが、その実牙を隠し持った猛獣なのだということをキラーは身を以て知っている。
「寂しかったんだよ? 埋め合わせをしてよ、キラー?」
「…勝手にしろ」
何度拒んでも伸ばされる腕ならもう諦める。キラーは諦観を持ってリヒトの腕の中に埋没した。たとえキラーの腕がリヒトを抱いたとしても、喰らわれる側は明確だった
ゼファミリー1
Xepherギャグのキャラ設定。
今までのシリアス路線とは180度違いますっていうか別次元で考えてください並みにご注意!!だって書きたくなって……!
「こういうのもアリよね」という心の広い方のみどうぞ。
・リヒト
男気溢れるもさもさ江戸っ子気質兄ちゃん。長男気質?小さい子が大好き。ルルススとしぐしぐsが最近お気に入り。小さい時は可愛かったのにキラーがデカくなったのが気に入らない。でもキラーがオロロと仲良くしてるとイライラする。
・キラー
怖い顔で周囲から引かれてる無口でシャイな人。本人精一杯で笑顔を作っても悪人面にしかならないのが最近の悩み。リヒトに小さい時に拾ってもらってからとても恩を感じている。親友はオロロ。相談を聞いて貰っているが、大抵その後リヒトの機嫌が最悪になっていたりで怯える。ある意味板挟み。
・ルルスス
リヒトのお気に入りその1。甘やかしているせいか我が儘娘傾向。キラーの顔が怖いと思っていたが、気に病んだキラーが泣いた辺りから「ホントはいい子かも?」と思い始めている。和解の日は近い……かも。エクレメス姉さんに遊んでもらうのが好き。
・オロロージョ
天然サワヤカ元気少年。怖い顔と拾い親の態度に悩む親友のよき相談相手。怖い者知らずで一本気な性格だが、唯一エクレメスには頭が上がらない。先に惚れた手前、尻に敷かれている。キラーに構えば構うほどリヒトの機嫌が急降下していることに気づかない罪な奴。
・エクレメス
全てを見通すお姉さん。リヒトに対して「もうちょっと大人になればいいのに…」と思うことがしばしば。オロロージョのことは子供っぽいと言うがまんざらでもない。なにげに両思いだがエクレメスが悟らせない。ルルススを妹のように可愛がっている。リヒトの天敵(と勝手に認定されてしまった)
・しぐしぐs
リヒトのお気に入りその2。桃しぐ、黄しぐ、青しぐ三人娘。顔からすっ転ぶ愛らしさに誰もが手をさしのべずにはいられない。桃、黄はキラーの顔怖い!超怖い!とあからさまに避けているが、青だけはキラーが泣いてるのを見たため、微妙な気持ちになっている。
すぺしゃるさんくす八卦さん…どうしようこのXepherの人達面白すぎるよ!!