識柚21 まとわりつく腕をよけ、煙草の箱の角に指先が届きそうになったところで再度捕まった。 「一本くらい吸わせれ」 「このまんまがよかったのに」 子供やなあと笑ったが、言われたら急にこれ以上絡まりようがないシーツとぬくい体が恋しくなり、男の我が儘につきあってやった。 口寂しさは、顔を探って唇同士をあわせて解消させた。 交わした熱からまた夜がはじまるのだろう。きりがない交わりは、実は嫌いじゃなかった。