栗原舞は、ばふっとベッドに倒れこむ。
 走って帰ってきたので、息を切らしていたが時間が経つにつれ呼吸が戻っていった。
「………」
 彼は覚えてなかった。
 昔、「お嫁さんにして!」と彼に言ったのだが、彼は覚えていなかった。
「まぁ、さすがにだいぶ昔だったからね……」と自分に言い聞かせていたのだが、その日のデートは気まずいの一言。
 デート終了後、彼が見えなくなった瞬間に走って家へ一直線。 泣いている顔を他の誰かに見せたくはなかった。
 それが舞が息を切らしていた原因であり、今流している涙は止まらない。

 幾分経っただろうか、泣きじゃくっていた舞の顔は随分と落ち着きを取り戻していた。
 涙をぬぐった舞は、その涙を洗い流そうと風呂に向かう。
「……ふぅ」
 舞の手によって、彼女の肌を被う衣服が次々に脱がされていく。
 上半分を脱いだ舞は、鏡に映し出されている自分を、主に胸の部分を見る。
 そこには幼かった頃の自分には無かったものが、小さな膨らみがあった。
「………」
 恥ずかしくなったのか、頬を少し赤く染める。
 残っていた下半身部分の衣服を脱がし、浴室へ向かった。

 軽くシャワーを浴び、湯船に浸かる舞。
 浸かっている間、明日彼になんて詫びようか考えていた。
 その考えも纏まらず、十分もすると体が火照ってきたので一旦湯船からあがり、シャワーを手に取り頭から温かいお湯を被る。
 次に石鹸を泡立てて腕から体に塗りたくり、そして胸付近を洗おうとして胸を優しく愛撫した。
 いつもならそのまま洗って過ごすのだろう。


 だが。
「っ、…っぅ」
 今日の舞は彼のことを考えるあまり自ら求める。
「…ぁ」
 小振りの胸を弾ませるように揉んでいく。
 舞の胸を揉む速度は次第に早くなっていき、湯船で火照っていた体は更に熱くなる。
「やっ……ふぁ……っ」
 石鹸によって彼女の肌はより滑らかになっており、愛撫もスムーズに行われ性感も徐々に得ていく。
 指が乳房の中央にある突起を捉える。勃起している突起を眺め、舞は自分が興奮している事を知った。
「んんっ!」
 身体全体に小さな痺れを感じ小さな喘ぎ声を漏らす。
 細い指先は突起を捏ね繰り回し、もう片方の手は、まるで生き物が地を這うかのように下半身へ進んでいった。
 その手は下半身に到着すると、破目の前方付近にある小突起に移動する。
 舞は一呼吸を置く。彼女の息遣いは荒く、潤んだ瞳は彼を求めて切なかった。

 そして遂に下半身にある指が陰核を刺激する。
「――ッ!っ!」
 今まで以上の刺激が舞の全体に駆け巡り、身体を震わせる。
 下半身からは生暖かい蜜を零し、指にその蜜を絡ませ破目を扱く。
「あっ…!」
 扱けばしごくほど、破目から蜜は溢れ出す。
 ちゅぐちゅぐと浴室に響く淫らな音は、彼女の羞恥を更に駆り立て、更に性的興奮を高めさせる。
「やっ……だ、めっ…んっ!」
 遂に舞の指が膣に挿入っていく。
 最初は人差し指だけだったが、物足りないのか中指も膣に挿入した。
 出し入れを繰り返す蠢く指、そこから得る性感によって彼女は淫らになっていく。
「ぁ……!ぁ…っ!!」
 殺しているとはいえ、艶めいた喘ぎ声は嫌でも口の底から出てくる。
 それは徐々に抑えられなくなり、やがて絶頂を迎える。
「―――っ! ああぁぁっ!!」
 身体が大きく痙攣し、下半身の大事な部分からは愛液が迸った。

 大事な彼。もう一度、告白……いや、婚約するんだ。
 オーガズムの余韻を残し舞は、その場で彼のことをずっと思っていた。

 翌日、舞は風邪を引いた。それはそれは、自分でも恥ずかしい原因だな、と。