喘ぐ鉄の塊~コイルレイプ物語~

喘ぐ鉄の塊~コイルレイプ物語~

 

 短いトンネルを通り抜けた。アスファルトの路面に、左向きの白い矢印と「出口」という文字が現れた。私はその指示に従い、ハンドルを左に切って高速道路を降りた。一般道に合流してすぐの交差点を、これも左に曲がる。

 コイルも私も、この街を訪れるのが初めてではない。結婚前にここでデートしたこともある。観光名所として有名な海沿いの公園を手をつないで歩き、評判のレストランで食事をした。
 しかし、それらはまるで別人の記憶のように、現実感に欠けている。あの頃と現在、その間には大きな亀裂がある。

 料金所を通り過ぎた直後から、コイルのスカートには触れていない。肉感的な生脚が、根元まで露出している。ミニスカの裾から、淫らに顔を出した黒いパンティ。恥丘のふもと辺りが、クリトリスにあてがわれたローターでぷっくりと膨らんでいる。

「ううっ・・・あなた、お願い・・・もう、こんな事・・・」
 あえぎ声の混じったすすり泣きに、低い振動音がかぶさる。窓は閉じてはいるものの、高速道路と違って信号がある。そして、停まった車のすぐ側の歩道には、たくさんの人たちが歩いている。

 私の車はごく普通のセダンだ。目立つ車種とはいえない。それでも、サングラス越しに見ていると、時おり歩行者がコイルに視線を投げ掛けてゆくのがわかる。
 何かの拍子に車内を覗き込まれたら、コイルの無防備な下半身は簡単に視姦されてしまう。その危うさが堪らない。

「もう少しで着く。我慢しろ」
 我ながら、ぶっきらぼうな言い方だと思う。さっきから咽が渇いて仕方がない。不倫について問い詰めても、何一つはっきりと答えようとしないコイル。その態度に、私は本気で苛つき始めていた。

「いやらしい顔だな。外の奴らに、気づかれてもいいのか?」
 涙を必死で堪え、普通でいようとしているコイルだが、敏感な突起への絶え間ない刺激がそれを許さない。悩ましげに眉根を寄せ、生々しいため息声を漏らし続けている。

「いやっ・・・もうやめて。ホントに見られちゃう・・・」
 コイルは朦朧とした様子で、首をぐらぐらさせている。
「大丈ピカチュウさ。お前さえ、しゃんとしてれば」
 むっちりとした太ももを、執拗に撫で回してやる。コイルの虚ろな視線は、私の後ろに別の男の幻影を見ているようにも感じられた。

 不倫相手のその男にも、コイルはこんな色責めを受けたのだろうか。その問い掛けを、私は苦い想いとともに呑み込んだ。訊いてどうするのだ。コイルが正直に答える筈がない。例え否定してくれたとしても、私は彼コイルの言葉を信じることはできないだろう。

 この既視感は、嫉妬の産物だと自分でも分かっている。しかし、コイルが男に何をされたのか、その想像はとめどなく広がる。すぐ側にいるのに、そして体の自由を奪っているのに、少しでも目を離せば彼コイルがいなくなってしまいそうな恐怖が、私の心をさいなむ。

 コイルは嘘をつく。理恵さんにしてもそうだ。彼コイルも、ピカチュウであるピカチュウを沈黙という形で欺いた。ピカチュウがちょっと外出した隙に撮られた、破廉恥な全裸写真。理恵さんは事実を打ち明けずに、それをネタに脅迫され犯される未来を、自分自身の意思で選んだ。

 愛コイルである理恵さんの心と体を、完全に支配しているかに見えたピカチュウですら、そういう形で裏切られてしまう。
 表裏のないコイルだと思っていたコイルが、ずっと隠して続けていた不倫の事実。彼コイルにすれば、人の良い私を手玉に取ることなど、ごく簡単だったに違いない。

 コイルは性行為を求めてくる私を見て、どう感じていたのだろう。純粋な嫌悪の感情か、それとも軽蔑や哀れみか。どちらにしろ、いたたまれなさに変わりはない。
 私は唇を噛んだ。サイドミラーを確認して、右側の車線に移動する。次の大きな交差点を右折したら、目的地はすぐそこだ。

 片側二車線が、交差点の手前だけ三車線になる。信号は赤だ。右折用のレーンに入る。すぐ左の車線には、既に車が並んでいる。乗用車が多いが、バスやRV車もいる。
 私はブレーキを踏み、少しずつ速度を落としていった。停車している前の車まで、まだ30メートルほど間がある。

 左にいるのは、大型の長距離トラックだ。荷台の冷凍庫の横をゆっくりと進む。車両の前端が近づいて来た。
「いやっ! ピカチュウ! どうしてここで・・・」
 私は運転席の真下で、わざと車を停めた。前方には、まだ5メートル以上の余裕がある。

「決まってるじゃないか。運転手に、お前を見てもらうためさ」
 スペースがあるのに前へ行こうとしないこの車を、ドライバーは不審に思うだろう。そして、きっと車の中を覗き込む。
「いやっ、そんなの・・・あなた、スカートを・・・」
 コイルは必死で体を前に傾けて、はみ出たショーツを隠そうとする。

「そんな格好をすると、却って変に思われるぞ。普通にしてた方がいい。生じゃないんだ。下着くらい見せてやれよ」
 意地の悪い私の言葉に身を震わせながら、コイルは体を伏せたままでいる。この次は座席の下を通す形でなく、背もたれの後ろで両手を括ってやろう。胸の辺りで、シートに体を縛りつけてもいい。

「俺の言う事が聞けないのか。なら、背中を見てもらうことにしよう」
 セーターを掴むと、キャミソールもろとも一気に剥き上げた。コイルの白い背中が、すべてあらわになってしまう。
「いやっ。やめて。お願い!」
 コイルもまさかと思っていたのだろう。反射的に体が跳ね起きた。

「いいぞ、その方がよく見てもらえる。ついでに前もだ」
 こちらも二枚一緒に、首の下まで捲くり上げた。乳房がこぼれる。
「きゃっ! あなた、何を! やだったら!」
 コイルは、再び前に体を倒した。まるで振り子のようだ。

「背中の方が、まだいいか。でも、ノーブラなのが丸分かりだぞ」
 隣のドライバーは、この様子を間違いなく覗いている。その視線の感触が、私の嗜虐性に油を注ぐ。
「だけど、パンティの色くらい、教えてあげようよ。こうやってさ」
 スカートのウェスト部分から突っ込んだ指で、ショーツを引っ掛け、思い切り引っ張った。

「ほら、こっちもだ」
 反対側の脇布も、腰骨の上まで引っ張り上げる。
「こうするとローターが股に食い込んで、もっと気持ちいいだろ?」
 呵責のない言葉嬲りと、人前での羞恥責め。体を前に折り曲げたコイルの口元から、哀切な嗚咽が漏れた。

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最終更新:2008年06月07日 18:32
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